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みつまたの栽培法

みつまたと土質
 みつまた栽培に適する土質は、一般に太古層、古生層、中世層が良いが、花崗岩、石英粗面岩、斑岩などから崩壊して生成した土質も適しています。みつまたは半陰性植物で土中に水が停滞するのを嫌うので、北面の傾斜地で排水の良好な壌土が適地とされています。
 みつまたの主要生産地の土質は次のとおりです。

徳 島 県

 太古層(片麻岩および結晶片岩系のれき質土)

高知県及び愛媛県

 中生層及び中生層のれき質埴土

島根県及び鳥取県

 花崗岩、斑岩及び石英粗面岩系のれき質埴土または壌土

岡 山 県

 古生層及び花崗岩系のれき質壌土または埴土

 

みつまた生産地地図

かっては関東、中部、近畿及び九州地方の各地で栽培されていましたが、産地の過疎化と生産者の老齢化により次第に減少し、今では地図(濃い緑色部分)のように岡山、鳥取、山口、高知、愛媛及び徳島の山間部のみとなっています。

みつまた

 

みつまたの品種
 みつまたには、赤木種、青木種、かぎまた(掻股)種の在来種と品種改良による仁淀1号種、6倍体種などがあります。
 また、品質の区分については、種子の多少或いは地方的特性から、赤木種を稔性種又は原産地が静岡であることから静岡種と呼び、一方青木種を半稔種又は中間種、かぎまた種を不稔種又は高知種というように分けています。

赤木種

花・実のできる数が多く、発芽率も高く栽培が容易で、じん皮が厚く黒皮の収量は多いが、白皮の歩留りと品質がやや劣ります。

青木種

花・実のできる数が赤木種より少なく、じん皮がやや薄く黒皮の収量が少ないが、白皮の歩留りと品質が良い。

かぎまた種

花・実のできる数が著しく少なく、股下と節間が長く黒皮、白皮の収量が多く、品質は極めて良いが、繁殖に難点があります。

仁淀1号種

かぎまた種より生育が良く、良質な自皮の収量は多いが、種子による繁殖率が極めて低い。埋幹法によって繁殖を行っているので、栽培の普及は困難です。

6倍体種

他の品種に比較して著しく生育が良く、良質な白皮の収量は多いが、繁殖率が低く現状では栽培の普及が困難です。

 みつまたの種類

 

みつまたの繁殖方法
 みつまたの繁殖方法には、実生法、株分け法(ほう芽抜取法)、さし木法、埋幹法などがありますが、普通は実生法(主として赤木種)が多く行われている方法で、ほう芽抜取法(主としてかぎまた種)が一部で行われている程度です。

実生法

種子は、植付け後5〜6年の生育の盛んな株から、6月中旬〜7月上旬頃の期間に、種子が自然に脱落する寸前に採取するのが最適です。種子は乾燥すると発芽力が落ちるため、一般的に果肉を醸酵させ、水洗いして腐熟した果肉を除き、種子のみを砂と混ぜて埋蔵します。翌春(4月下旬〜5月上旬)に取り出し、水洗して浮き種子等を除去します。通常果実1Pから種子は3,000粒ぐらい取れます。
たねまきの期間は、4月下旬〜5月上旬頃で、作条したうねに筋まきするのが一般的です。みつまたの苗は、直射日光を嫌うので、目が粗く、薄地で、堅めの綿布、または麻布を利用しておおいをします。たねまき後に1〜2回程度間引き、同時に除草、中耕、施肥などを行います。翌春、苗床で育てた苗を本式に植えつける1か月位前に苗を掘り取り、東ねて日陰に仮植しておき、時期を見て本式に植えつける畑に定植します。

株分け法

実を結ぶのが少なく実生苗に頼ることが出来ないかぎまた種及び仁淀1号種は、根芽よく群生するので、株分け法を採用します。この方法は、母樹の根の一部に生じる不定芽が生育して根芽となり、これが根を持っているので、苗木として使用します。

さし木法

実生法の適用しがたいかぎまた種、仁淀1号種などに用いられますが、3〜4月頃排水の良好な土質で行います。

埋幹法

実生苗によることが出来ないかぎまた種、仁淀1号種等の苗木養成に良い方法とされています。さし穂全体を地中に埋没させる方法で、苗床へ15cmに切ったみつまたの幹を埋めておくと芽を出し、この芽に根が着いているので、これを母幹から分けて独立の苗とする方法です。

 

みつまたの栽培方法
 みつまたの栽培地としては、関東以西の温暖地が適地であり、中国、四国地方での山間部に多く栽培されています。みつまたは半陰陸植物で強烈な日光を嫌うため、北面の山腹が適していますが、南西の場合は高木と混植して木の陰を利用する方法がとられている。
 みつまたは、風当たりが少なく排水の良好な土地が最も良く、山間の傾斜地でしかも森林の多い地方は、一般に平地より降雨が多く、春夏の植物生長期に朝夕濃霧に覆われるような所が多く、このような地域が栽培に適しています。栽培方法には、粗放的な普通栽培法と密植栽培法とがあります。密植栽培は、普通栽培に比較すると、普通畑に密植して施肥栽培するので生育が極めて早くなります。この方法には、直まき密植栽培と移植密植栽培とがあります。

みつまたの種
みつまたの種

みつまたの畑
みつまたの畑

 

普通栽培法

苗は平地に作られ、一年間の育苗後掘り取って本圃(本式に植えつける畑)に移して植えます。本圃はだいたい山腹の傾斜地で、雑木等を伐採して移植します。植付け本数は、普通10a当たり3,OOO〜6,OOO本程度とされていて、1本植えと2本植えがあります。本圃への移植後は年2回ほど下革刈りをするだけで放任されることが多いです。






直まき密植栽培法

普通畑を本圃としてあぜを作り、種子を4月下旬〜5月上旬にかけて条まきします。翌春一列おきに全部掘り取り移植用の苗とします。残った一列は間引きをし、10a当たり8,OOO〜15,000本程度を残して管理します。

移植密植栽培法

傾斜の比較的緩やかな山畑に直まき密植栽培の間引き苗などを1Oa当たり8,O00〜12,OOO本程度移植するの方法です。

 

2年目の夏のみつまた
2年目の夏

3年目の夏のみつまた
3年目の夏

 

みつまた原木の収穫
 収穫期は11月下旬から翌春の4月頃までが適した時期で、それ以外に刈り取った揚合は、切り口が腐敗しやすいので、発芽が阻害されるおそれがあります。

一定の大きさ(130cm以上幹径20cm以上)に達したものを刈り取る。

みつまた原木の収穫 みつまた原木の収穫

 

みつまた皮の製造
 刈り取ったみつまたの枝を生木、原木或いは木素(きそ)といいます。生木を蒸して皮はぎしたままの皮を生皮又はぽて皮といい、これを乾燥すると黒皮又は粗皮といいます。
 生皮又は黒皮の表皮と甘皮を取り除いたものを白皮又はしろそといい、白皮にはじけ皮とさらし皮の2種類があります。

みつまたの皮の種類

じけ皮

 じけ皮は、水漬し、水洗、乾燥等の作業をする際、なるべく日光に当てないようにし、必要程度の色素を残し、皮が白くならないように製造したものです。じけは渥汁、灰汁、地気とも書き、俗語で意義は二とおりに使われている。長く水に漬けるとじけが抜けて歩留りが悪くなるという場合のじけと、水性成分のほかに色素の一部を含める場合とがあります。以前印刷局で使われていたのは後者です。

さらし皮

 さらし皮には山ざらし、半ざらし、本ざらし及び雪ざらしがあり、市販のみつまた白皮はこの4種類に全て包含されています。さらしという意義には、精選して表皮を除くこと、水に浸せきすること、日光漂白をすることなどに使われています。すなわち、少しでも日光漂白を行う半ざらし、本ざらし及ぴ雪ざらしは、全てさらし皮ですが、山ざらしは日光漂白を行わないことから市販じけともいわれています。
 上記分類のうち、生皮及び黒皮の製造については、原木剥皮が一部で機械化されているものの、手作業によるところが多い。白皮の製造については、通常手作業による方法が採用されています。労働力不足等の関係から白皮剥皮機の研究開発が行われましたが、歩留りが悪いなどのため、実用化には至りませんでした。

 

黒皮の製造法
 刈り取ったみつまたの枝(生木)を約2〜3時間蒸してから皮はぎをして、じん皮部と木質部に分けます。

蒸煮法

桶蒸し法

掘込み式のかまどを造り、その上に平釜を据え置き、束ねた生木を立て、上から丸桶をかぷせて蒸し上げます。

箱蒸し法

 蒸し箱には鉄板鋲止式と木製組立式の2種類がある。前者は生木をそのまま横や縦に詰め込むので、作業が容易にできます。また、後者は生木を縦に並べ、上部に空間がある時はさらに横にして詰め込み、蒸熱する方法です。両者とも1回当たりの蒸し量は桶蒸し法よリ多いが、設置場所を変更する場含に容易でないのが欠点です。現在は箱蒸し方がほとんどです。

 

桶蒸し法
桶蒸し法

箱蒸し法
箱蒸し法

 

剥皮と乾燥
 剥皮は、蒸し終えた生木を1本ずつ幹と皮を引き離すものです。従来は人力により剥皮していましたが、最近は機械化に成功していて、その普及率も徐々に上昇しています。剥皮した生皮は、普通一握り程度束ねて竿に掛け、天日で乾燥させ、出釆上がったものが黒皮です。

剥皮
天日乾燥

 

白皮の製造法
 白皮の加工は黒皮を水漬して柔らかくし、黒皮の中の表皮、甘皮、きずなどを取り除くことです、これらの加工作業はほとんど手作業で行われています。加工作業には生木を蒸し、剥皮したままの生皮を乾燥させないで、短時間水漬してから加工する方法と、生皮を乾燥していったん黒皮にしたものを適当な時間水に浸せきし、柔らかくしてから白皮に加工する方法の二とおりがあります。

黒皮から白皮を調製

 一般的に黒皮から白皮(さらし皮)を調製する場合は、黒皮を12時間位(生皮は6時間程度)水漬し、表皮、緑皮及び繊維中の泥状物質を「剥皮器」で丁寧に取り除き、きずとか変質した皮がある場合には、小刀で切り取ります。次に清流の日当たりの良い浅瀬(又は水槽)に2時間以上皮を浸せきします。このようにして、水溶成分を溶出させると共に、水層を通して皮に達する太陽光線と水中に溶け込んでいる酸素との作用によって、色素を酸化させ水に溶ける状態のものにして、溶かし去ることによって漂自をします。浸せきが終われぱ、水洗いして引き上げ、水を切って乾燥させます。

みつまたの有効成分
 有効成分とは、みつまた皮から水分と水溶性成分を除いた絶対乾燥成分のことをいいますが、みつまた皮から紙を作るにはみつまたの種類、産地、製造方法により歩留りが大変異なっています。みつまたの取引きは正味取引きの方法が望ましいので、紙料の歩留りに比例するような成分を定めています。