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保管してあった楮を煮熟前に一昼夜流水に侵積します。これは繊維を柔らかくして煮熟剤の浸透を良くし、煮熟を助けることと可溶性物質 を溶出します。それと水の中で十分に洗い、繊維に着いている取り残しの黒皮やゴミを洗い去ります。
アルカリ液で繊維を煮ます。伝統的には木灰からアルカリ液(炭酸カリウム)を抽出し煮熟剤としてきました。現在では石灰(水酸化カルシウム )、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)又は苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を用途により使い分けています。煮熱剤の量は、石炭を使用する場合、乾燥原料重量当たり20%、ソーダ灰は18%、苛性ソーダは15%前後を目安とします。
水量は原料重量に対し約10倍以上が必要です。少なすぎるよりは多めの方が良いようです。繊維が液中に沈む位を多めの上限とします。火加減は煮沸するまでは強火で、煮沸後は沸きまけない程度の火加減に保ちます。煮沸後30分もすると繊維は柔らかくなり嵩が少なくなり液中に没します。その時に天地返し(徳島弁?)をします。上下をひっくり返し、炊きむらにならにようにします。
繊維に含まれている非繊維質の残量で和紙の質及び風合いが決まります。強い煮熱剤は多くの非繊維質を溶出し紙を柔らかくし、弱い煮熱剤は非繊維質が多量に残り腰のある堅い紙を作ります。また、煮熱剤の化学組織により紙の色目や風合いに微妙な変化が現われます。用途にあわせて経験値で煮熱剤の選定をし使用しています。
煮沸後2時間位に煮熱の打愛を検査します。繊維を横にさくと細い繊維の組織が徐々に広がるように開くか、指で引っ張ってちぎれるようになった時、繊維は十分に炊けています。但し、検査するときに沸騰している釜の中から繊維を取り出すので気を付けなければならないのは当然として、取り出す繊維は出来るだけ太い繊維を取りだし、下もとの方で検査してください。
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